ISBN:4000093290 単行本 草柳 和之 著 岩波書店 2004/07 ¥504

本書は、岩波ブックレットで約70ページ、1時間くらいで読めるものです。
友人がブログでDV(ドメスティックバイオレンス)について何回か書いていたので、僕も自分の問題意識の視点に近い本書を選んで読んでみました。

まず、本書でいうドメスティックバイオレンス(DV)とは「夫婦(別居離婚後も含み)または、パートナー(こちらも同居以外・交際後も含む)間の暴力」のことであり、暴力の範囲は、「身体的暴力・言葉の暴力・性的暴力・経済的暴力・社会的暴力・物の破壊」である。
DVという言葉の定義は、最近かなり広まってきているように思うが、ここでいうDVと暴力の範囲が結構広いことに注目されたい。

また、DVが取りざたされる時には被害者の視点・被害者援助の視点からが多いが、本書は加害者の暴力克服のための取り組みの視点から書かれている。

暴力行動を起こすということは、暴力とかかわった経験があるということであり、暴力行動を起こす人は、以前に暴力の被害者であったか、暴力の加害・被害を目撃した場合が大半であるといわれる。

また暴力が人と人をつなぐものである(それがどんなに破壊的であっても)という経験ともなっており、暴力が破壊的であることと力の汎用・発散はアドレナリンなどの脳内物質を放出することから、嗜癖(しへき)的行動、それも人間関係嗜癖とされる。

また、これらの暴力行動は罰することでなくなるのではない。

新しく暴力以外の形のコミュニケーションの方法を学び、暴力被害についての共感力を持ち、加害行動を振り返り、暴力行動を起こさないよう意識し工夫していく必要がある。

特に本書では、暴力は自分の選択であるという認識にたって、上記のような方法を学んで実行し、
あらゆる暴力的行為をなくす。
被害者に与えてきた苦痛に対して責任をとる。
という加害者のDV克服の柱を設定して、行動を変えていくための試みがなされている。

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